AED(自動体外式除細動器)について
突然に心臓が止まるのは、心臓がブルブルと細かくふるえる「心室細動」によって生じることが多く、この場合にはできるだけ早く心臓に電気ショックを与え、心臓の動きを取り戻す(これを除細動という)ことが重要となってきます。
AED(=自動体外式除細動器)は、この電気ショックを行うための機器です。コンピュータによって自動的に心室細動かどうか調べて電気ショックが必要かどうか決定し、音声メッセージで電気ショックを指示してくれますので、一般の方でも簡単で確実に操作することができます。
心室細動になってから電気ショックを行うまでの時間が1分遅れるごとに、社会復帰の可能性が7~10%ずつ低下することが知られています。そして、万が一AEDが設置されている付近で誰かが突然倒れた場合は、AEDを使用して救命に役立ててください。
AEDの使用手順
心肺蘇生法を行っている状態で、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるよう設計されています。AEDは電源が入ると、音声メッセージとランプであなたが実施すべきことを指示してくれますので、落ち着いて従ってください。
1.AEDの到着と準備
1.AEDを傷病者の横に置く
- AEDを傷病者の頭の横に置きます。ケースから本体を取り出します。
2.AEDの電源を入れる
- AEDの電源ボタンを押します。ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります。電源を入れた後はメッセージに従って操作します。
3.電極パッドを貼る
- 傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。(プライバシーの配慮が必要な場合もあります)
- 電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の右前胸部(右鎖骨の下で胸骨の右)および左側胸部(脇の5~8センチ下)の位置に貼り付けます。電極パッドを貼り付ている間も、できるだけ胸骨圧迫を継続してください。(貼り付ける位置は電極パッドに絵で表示されていますので、それに従ってください。)
- 機種によっては電極パッドのケーブルコネクタをAED本体の差込口(点滅している)に入れるものがあります。
電極パッドを貼るときの注意点
- 傷病者の胸が濡れている場合
電気が体表の水を伝わって流れてしまうために、AEDの効果が不十分になります。乾いたタオルで胸を拭いてから電極パッドを貼り付けてください。 - 胸に貼り薬ががある場合
貼り薬には、ニトログリセリン製剤や喘息薬などがあります。貼られている場合は、はがして薬剤を拭き取ってから電極パッドを貼ります。貼り薬の上から電極パッドを貼り付けると電気ショックの効果が弱まったり、貼り付け部位にやけどを起こすことがあります。 - 医療器具が胸に埋め込まれている場合
胸の皮膚が盛り上がっており、下に固いものが触れるのでわかります。電極パッドを貼る位置に心臓ペースメーカーの出っ張りがある時は、その場所を避けて電極パッドを貼ってください。 - ネックレスなどのアクセサリを付けてる場合
簡単に外せる場合は外し、外せない場合は、首の上の方にずらし電極パッドからなるべく遠ざけます。
AED電極パッドの名称変更について
ガイドライン2020の公表により、従来の成人用パッドが「小学生~大人用パッド」、小児用パッド・モードが「未就学児用パッド・モード」に名称が変更されました。
ですが、従来の表記のまま設置されている箇所も多いため、間違えないように注意が必要です。
AEDパッドの種類と 適用される傷病者 |
未就学児用 パッド・モード |
小学生~大人用 パッド |
---|---|---|
未就学児の傷病者 | ◎(推奨) | ○(可) |
小学生以上の傷病者 | ×(不可) | ◎(推奨) |
2.心電図の解析
- 電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。
このとき「みなさん、離れて!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。ショックが不要ですなどの音声メッセージが流れた場合は、ただちに胸骨圧迫を再開します。 - 一部の機種には、心電図の解析を始めるために、音声メッセージにしたがって解析ボタンを押すことが必要な機種もあります。
3.電気ショック
- AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。充電には数秒かかります。
- 充電が完了すると「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージが流れショックボタンが点灯し、充電完了の連続音がでます。
- ショックボタン点灯後「ショックを実行します。みんな離れて!」など注意を促し、自分を含め誰も傷病者に触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。
ポイント
- 電気ショックが加わると、傷病者の腕や全身の筋肉が一瞬けいれんしたようにビクッと動きます。
オートショックAEDについて
- オートショックAEDには【ショックボタンが存在せず】、心電図解析の結果、電気ショックが必要な場合は、傷病者から離れるようにアナウンスが流れ、カウントダウンまたはブザーが流れた後、自動的に電気ショックが実施されます。
- オートショックAEDには、従来のものと区別するために、下の図のマークがついています。
4.心肺蘇生法を再開
- 電気ショックが完了すると「ただちに胸骨圧迫を開始してください」などの音声メッセージが流れますので、これにしたがって、ただちに胸骨圧迫を再開します。
- 心肺蘇生法を再開して2分ほど経過すると、AEDは再び自動的に心電図の解析を行います。音声メッセージにしたがって傷病者から手を離し、周りの人を傷病者から離します。
- 引き続き(心電図の解析、電気ショック、心肺蘇生法の再開)の手順を、約2分間おきに繰り返します。
ポイント
- AEDを使用する場合でも、AEDによる心電図の解析や電気ショックなど、やむを得ない場合を除いて、胸骨圧迫と人工呼吸をできるだけ絶え間なく続けることが大切です。
5.電気ショックの適応ではない場合
- 心電図解析の後「ショックは不要です。ただちに胸骨圧迫を開始してください」などの音声メッセージが流れた場合、除細動ができないものとなっています。この場合には、メッセージにしたがってただちに胸骨圧迫を再開します。心肺蘇生法を再開して2分間(5サイクルほど)経過すると、AEDは再び自動的に心電図の解析を行います。その後も音声メッセージにしたがってください。
(参考)心肺蘇生法を中止する状態
1.救急隊に引き継いだとき
- 救急車が到着したら、救急隊と交代するまで心肺蘇生法を続け、交代後に傷病者の倒れていた状況、実施した応急手当(心肺蘇生法)、AEDによる電気ショックの回数などをできるだけ伝えます。なお、AEDは自動的に心電図波形や加えたショックの回数等を記録しています。
2.傷病者が普段どおり呼吸をし始める、あるいは目的のあるしぐさが認められる
- 普段どおりの呼吸や目的のあるしぐさがあれば、心肺蘇生法はいったん終了しますが、繰り返し反応の有無や呼吸の様子を見ながら救急隊の到着を待ちます。普段どおりの呼吸がみられなくなった場合は、ただちに心肺蘇生法を再開します。
応急手当講習のお申し込み
- 応急手当や心肺蘇生法等の救急に関する知識や技術等の普及のために講習会を行っています。講習会を希望される場合は、お気軽にご連絡ください。
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斜里地区消防組合消防署清里分署
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電話:0152-25-2110
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